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2006-02-22(Wed) 00:01
金欠で新しい本が買えないので……棚からひとつかみ(某ラジオ番組のパクリだな・汗)的に、本棚から適当に手に取ったものを読み直してみました。偶然だけど、どちらも一人称です。
江國香織 著 『神様のボート』
愛する人を待ち続ける母親と、ほんの少女から大人へ成長していく娘の物語。 母親である葉子と娘である草子の視点で、それぞれ交互に語られるという形式です。母親に同調すれば恋愛ものとして、娘に同調すれば成長物語として読むことができるというものですが、作者自身はあとがきで、狂気の物語だと書いていますね……。 再読した今回は、繊細な文章の変化(登場人物の心の変化)がよくわかりました。
口約束だけで愛する人を十何年も待ち続ける葉子に、わたしは同調できないけれど、「その人が自分の居場所であればいい、だからほかのものに馴染む必要はない」という気持ちそのものは、女として理解できなくもない気はします。「あの人と私の草子」を宝物として育てていく気持ちとか、信じていたい気持ちとか。……まあ、やっぱり狂気だとは思いますけど。
娘の草子のほうが、わたしには理解しやすかったです。 子供の頃はパパに会えることを信じてママとの生活に満足していたけれど、成長するにつれて「ママの世界」では生きられなくなった娘。それでもやっぱり母親のことを愛しているから悲しくなる、というところは共感しました。 理由は全然違うけれど、わたしも草子と同じ歳で親元を離れたので、実家に電話するシーンなどは、自分の経験と重ねてしまったのかもしれませんが。
本多孝好著 『MISSING』
5つの短編がおさめられている1冊で、これは好きだから何度も読んでしまう本です。 ミステリのジャンルに入るのでしょうが、怪奇殺人だの謎解きだの……というものではなくて、日常にありそうでなさそうな身近な事件ばかりです。 (作家の加納朋子が好きな人は好きでしょう、多分。←わたしも好きですが) 文章はとても読みやすく、雰囲気はやわらかく、各編の登場人物の台詞に愛嬌があるのが気に入っています。この著者の小説は長編も読みましたが、今のところデビュー作のこの本が一番お気に入りです。
2番目におさめられている『祈灯』は、何度読んでも好き。 トリックが斬新とは思わないし衝撃的というわけではないのだけれど、この作品の中で描かれている兄と妹の関係も羨ましいし、作品全体に漂う優しさと切なさと棘のようなものが、とてもいい感じだと思うのです。 わたしも……祈る人になりたい。祈る人でありたい、と思います。
『蝉の証』のラストシーン(おばあさんがとても素敵)も印象的だし、『瑠璃』のキラキラ感と喪失感とリアリティも心の琴線に触れるものがありました。
最近はファンタジー小説を読む機会が多かったのですが、はやり日本語で書かれた日本人の小説は心地いいなぁと、しみじみ思ってしまいます。
〈小声の追記〉 江國香織は……好みの問題だとは思うけど……どれを読んでも嫌悪感がない代わりに大好きだとも思えません。うーむ。 わたしは多分、山本文緒みたいな、ちょっと痛いくらいに感情に刺さる話のほうが好きなのかもしれないですね。
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